月別アーカイブ: 2014年5月

香港政府がASEANとのFTA交渉開始にあたりパブリックコメントを募集

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香港政府はASEANとのFTA(自由貿易協定)締結に向けた正式交渉の開始にあたり、パブリックコメントの募集を開始しました。

香港とASEANは昨年4月にFTA締結に向けた取組みを開始することで合意していましたが、今年の7月から正式に交渉入りすることになっています。

意見募集にあたり、Consultation Documentでは、香港とASEANの経済・貿易関係の現状を以下のように整理しています。

香港とASEANの経済・貿易関係の現状

  1. 物品貿易
    2013年時点でASEANは香港にとって2番目の物品貿易相手であり、その額は7,500億香港ドルにのぼり、香港の物品貿易額全体の10%を占めています。対2012年比ではプラス3%の伸びで、2009~2013年の両地域間の物品貿易額の年平均増加率は10%に達し、世界的に経済成長が鈍化する中では際だった伸びを示しています。

    ASEAN加盟国のうち、香港との物品貿易額が多いのは、シンガポール(3,050億香港ドル)、タイ(1,210億香港ドル)、マレーシア(1,140億香港ドル)、ベトナム(980億香港ドル)、フィリピン(640億香港ドル)となっており、これらの国々はいずれも香港の貿易相手国(地域)の上位20位以内に入っています。

    香港からASEANへの輸出(再輸出を覗く)額800億香港ドルのうち、たばこやその関連製品、金属鉱石・金属屑、無機化学品等が主な輸出品を占めています。ASEANから香港への主な輸入額5,140億香港ドルのうち、主な輸入品目としては電子機器・器具やそれらの電子部品、通信・録音・再生機器、事務機器、自動データ処理機などが挙げられます。

    一方、香港からASEANへの再輸出品としては、電子機器・器具やそれらの電子部品、通信・録音・再生機器、事務機器、自動データ処理機などが挙げられます。

  2. サービス貿易
    2012年において、ASEANは香港にとって4番目のサービス貿易相手であり、その額は1,100億香港ドルにのぼり、香港のサービス貿易額全体の8%を占めています。

    ASEAN加盟国のうち香港とのサービス貿易額が多いのは、シンガポール(490億香港ドル)、マレーシア(180億香港ドル)、タイ(170億香港ドル)、フィリピン(110億香港ドル)、インドネシア(100億香港ドル)、ベトナム(50億香港ドル)となっており、これらの国々はいずれも香港の貿易相手国(地域)の上位20位以内に入っています。

    香港とASEANのサービス貿易額の伸びは近年目覚ましく、2008~2012年の両地域間のサービス貿易額の年平均増加率は6.8%にのぼり、運輸・旅行、およびその他のビジネスサービスが主なサービス貿易品目を構成しています。

  3. 投資
    2012年末時点で、ASEANから香港への直接投資額は2340億香港ドルで、香港から見てASEANは6番目の投資元となります。その大半はシンガポールからの投資(累計投資額2,050億香港ドル)で、ASEAN加盟国の中では唯一シンガポールだけが香港への直接投資の投資元の上位20位以内に入っています。

    香港からASEANへの直接投資額は2070億香港ドルで、香港から見てASEANは5番目の投資先となります。ASEAN加盟国の中では、シンガポール(累計投資額620億香港ドル)、タイ(同560億香港ドル)、マレーシア(450億香港ドル)、フィリピン(210億香港ドル)が香港への直接投資先の上位20位以内に入っています。

    香港の投資家のASEANへの関心は急速に高まっており、2011年の140億香港ドルだった香港からASEANへの直接投資額は2012年には280億香港ドルへと倍増しています。

    ASEAN加盟国の中で、香港は投資推進・保護協定(IPPA)を2005年にタイ、2013年にマレーシアとの間で締結済みです。ミャンマーとのIPPAについても、双方での国内手続きが済み次第、署名の運びとなる予定です。

この現状を踏まえ、Consultation Documentでは、FTAのキーとなる以下の点について一般からの意見を求めています。

  1. 関税率
  2. 原産地規則
  3. サービス貿易
  4. 投資
  5. 知的財産権

FTAの最大のポイントは関税ですが、香港は元々、輸入品に対して一切関税を課していませんので、ASEAN側が香港を原産地とする製品に対して課す関税について、どこまで撤廃もしくは引下げに応じられるかが交渉の鍵となります。

国名 平均関税率
ブルネイ 2.9%
カンボジア 10.3%
インドネシア 6.9%
ラオス 8.2%
マレーシア 5.5%
ミャンマー 5.1%
フィリピン 5.7%
シンガポール 0.0%
タイ 8.0%
ベトナム 8.4%

コメントの募集は7月7日までとなっています。

今年の邵逸夫賞に日本人科学者が選ばれる

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邵逸夫賞(英名:The Shaw Prize)の2014年度受賞者が昨日(27日)発表され、「生命科学および医学部門」の受賞者に日本人の森和俊氏(京都大学)が選出されました。受賞理由は、「タンパク質のフォールディング異常に対して小胞体が示す応答についての発見」で、Peter Walter氏(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)との共同受賞になります。

邵逸夫賞は香港の映画・テレビ産業の父と呼ばれる故・邵逸夫氏(今年1月に106歳で死去)を記念して2002年に創立された賞で、「学術・科学研究あるいはその応用において重要なブレークスルーを達成した、あるいはその業績が人類に建設的かつ深遠な結果をもたらした人物」に対して授与されます。

日本人の受賞者は、2008年の山中伸弥氏(森氏と同じ「生命科学および医学部門」)に続いて2人目となります。選考委員長を務めた楊振寧氏(中国系としては初のノーベル賞受賞者(現在は米国籍))は会見の中で日本人が受賞したことに触れて、「日中関係が良くない状況にある中で我々がこのような決定を行った(=日本人を受賞者として選出した)ことは、科学的な成果こそが選考の唯一の基準であるというこの賞の精神を表したものだ」と述べています。

新会社条例下での減資手続き

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3月に施行された新しい会社条例では、これまでよりも簡単な手続きで減資が行えるようになりました。

旧会社条例(第32章)では、減資の実行にあたっては株主の承認に加えて、原則として、裁判所の許可も必要とされました(例外的なケースとして、株式の額面価格を引下げることのみを目的とした減資のみ裁判所の許可が不要)が、新会社条例(第622章)では、前記目的以外での減資も裁判所の許可を必要とすることなく実施することが可能となります。その手続きの概要は以下の通りとなっています。

  1. 支払能力検査(Solvency test)を実施し、全ての取締役が支払能力陳述書(Solvency statement)に署名。
  2. 支払能力陳述書の署名日から15日以内に、減資を承認する旨の株主による特別決議を実施。
  3. 官報(Gezette)に減資公告を掲載するとともに、支払能力陳述書を登記処に提出。
  4. 特別決議可決後5週間以内に、債権者や株主は裁判所に対して決議無効の申立てを行うことができ、この申立てがなされた場合、裁判所は決議の有効性の確認もしくは失効のいずれかの裁定を行う。
  5. 5週間以内に裁判所への申立てが行われなかった場合は、その期間の経過後かつ遅くとも7週間後までに(あるいは、債権者等から裁判所に対して申立てが行われ、裁判所から特別決議の有効性確認の裁定が下りた日、もしくは裁判所の決定なしに法的手続きが終了した日から15日以内に)所定の申告書を提出する。

※ これらの規定は新会社条例の215~225条(http://www.alucia.com.hk/new_companies_ordinance_201-300.html)に記載されています。

すなわち、新会社条例の下では、従来の手続きでの減資も引き続き可能な一方で、会社が自らの債務と支払能力についての検査を実施し、減資を実行した後も会社が債務の返済能力を有する旨の陳述書に全ての取締役が署名するというある種の保証を行うことで、裁判所の許可を必要とすることなく減資を行う(代替的な)選択肢が与えられることになります。(取締役が陳述書の中で合理的な裏付けのない意見を表明した場合、起訴による有罪判決により15万香港ドルの罰金および2年以下の禁固刑が科されます(第207条)。)

新会社条例の施行から2ヶ月余りが経ち、新しいルールの下で減資が行われたケースも徐々に出てきています。

域外上場中国企業の会計監査に対する規制導入で香港の会計士業界に波紋

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先月、中国の財政部が出した通知が香港の会計士業界に波紋を投げ掛けていると香港経済日報が伝えています。

【本報訊】中國財政部有意禁止香港會計師參與內地企業審計工作。
該部門提出若企業到境外上市,審計要由內地會計師行負責,但由香港會計師行簽署及承擔責任,而持臨時牌者更不得參與審計,學者批評做法倒退。

この通知は、(香港など)中国本土以外で上場している中国企業がその監査を中国本土以外の会計事務所に依頼する場合、その監査の実務作業は中国国内の有資格者に従事させるか、もしくは中国国内の上位100位以内の地場会計事務所との協業で実施しなければならないというもの。ただし、その監査責任は、監査を依頼人企業から受託した(中国本土外の)会計事務所が負うことを求められています。

2009年のCEPA補充協議に基づき、香港の会計士資格所有者が中国国内での監査業務に臨時的に就く場合は、「臨時執行監査業務許可証」を申請することで業務に従事することができますが、新しい規定の下ではこの許可証で監査業務に就くことはできなくなるということです。記事によれば、今年の4月30日時点で香港には36,867人の会計士がおり、単純計算では香港の人口の5%程度を占めます。その6割から7割の人たちが香港に上場している中国本土企業の監査に従事しているとされますが、この新しい規定が施行されれば、香港の会計士たちの人員カットや新卒採用の抑制などの形で影響が出ることが予想されます。

香港はこの10年来、CEPA等の枠組みを通じて徐々に中国本土との一体化を進めてきて、そのことが香港経済を潤してきたのは事実ですが、本土側に生殺与奪の権利を握られている現実も改めて認識しなければならないということの一つの例かもしれません。

香港2014/15年度予算案成立の目処立たず

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香港政府の今年度の予算案は、立法会での反対派議員による議事引き延ばしにより、未だ成立の目処が立っていません。一昨日(18日)の財政長官のブログは、予算案に反対する議員たちの行動を議事妨害(「拉布」)として非難し、それに対する苛立ちを露わにした内容でした。

このブログのタイトルの「行開啦!」とは「消え失せろ」の意味。強い調子で相手を罵倒する言葉です。つまり、財政長官はブログの中で、議事妨害を続ける反対派議員に対し、いなくなってしまえと言っていることになります。財政長官が自らのブログのタイトルに使う言葉としては甚だ不適切なもので、日本だったら問責は必至だと思いますが、政府側と反対派議員が汚い言葉で罵しり合う姿が連日テレビニュースで放映される香港では、今更取り繕う必要がないのかもしれません。


反対派の先頭に立つ 人民力量の陳偉業議員(TVBニュースより)

昨年の予算の審議も遅れに遅れ、5月22日にようやく成立しましたが、今年は本日(20日)時点でいまだ予算成立の目処が立っておらず、去年よりさらに遅れるのは確実です。今月中に予算が成立しなければ、6月度の公務員給与や7月度の社会福祉関連の支出の執行ができない事態に追い込まれることになります。


近年の予算案審議時間

ベトナム各地に広がる反中暴動で香港企業にも被害

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西沙諸島をめぐる中越間の領土紛争に端を発したベトナムの反中暴動は、広く華人全体に対する排斥活動へと拡大する様相を呈してきました。中国企業や台湾企業の被害が大きく報じられる中で、ベトナムに進出している香港企業にもその被害が及びつつあります。

香港はベトナムへの投資額で日本・台湾・シンガポール・韓国・英領ヴァージン諸島に次ぐ第6位(2012年末時点)で、繊維関係を中心に1,000社以上が進出しています。現時点では、暴動が発生している地域に進出している香港企業は比較的少ないとされますが、最も激しい暴動が起きたホーチミン市近郊のビンズオン省にある工業団地では香港系企業の工場が焼き討ちに遭う被害も出ているとのことです。

【本報訊】中國在西沙群島開設鑽油台,激發越南爆發近年最大規模反華示威,逾兩萬人在過去兩日衝擊華資工廠,波及數以百計台資和港資等外資企業,最少15間工廠被焚,包括有「棉花公主」之稱的溢達集團董事長楊敏德,其設於當地的製衣廠亦被焚燒。本港入境處收到三名在越南工作的港人求助,他目前安全。據報多名內地及台灣工人受傷。越南軍警昨逮捕逾600人,衝突至今造成一名軍警死亡及20人嚴重燒傷。

事態の拡大を受け、香港政府は昨日付で「黄色注意報」を出し、ベトナムへの渡航者に対し注意を呼びかけました。

「佔中」目的の法人設立、当局に拒否される

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香港メディアを賑わす「佔中(占領中環)」とは、中環地区(セントラル)を物理的に占拠する実力行使をちらつかせて、次期行政長官選挙における普通選挙制度実現を求める市民運動のことですが、この運動の主催者たちによる法人の設立申請が香港当局に却下されていたことが明らかになりました。

当局が申請を却下した理由は、「其成立公司的目的並非「合法目的」(lawful purpose)」、すなわち「会社の設立目的が合法目的ではない」というもの。会社条例(第622章)の第67条第2項には以下のように規定されており、これに抵触するというものです。

A company may only be formed for a lawful purpose.
(会社は合法的な目的の下でのみ設立することができる。)

ちなみに、設立申請された法人の名前は「OCLP Limited」で、これは「Occupy Central with Love and Peace」の頭文字を取ったものだということです。この団体のホームページ(http://oclp.hk/)に掲載されている意向書(Letter of intent)では3つの信念が謳われており、その3番目に

Although acts of civic disobedience are illegal, our actions for universal suffrage in Hong Kong must be and remain non-violent.
(我々の行動は非合法ではあるが、非暴力は貫かなければならない。)

と記されています。当事者自身が違法行為として認識しながら行動に出る意思を公にしている以上、当局としてもこれを看過できないのはやむをえないことかもしれません。