月別アーカイブ: 2014年6月

普選導入をめぐる市民投票に80万人の市民が投票

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「佔中(Occupy Central)」運動を推進する団体が実施した「全民投票」は昨日(29日)、投票所およびインターネットでの投票が締め切られ、投票期間中、約79万5千人が票を投じたことが分かりました。

この数字が持つインパクトについて、「全民投票」の有権者資格は「18歳以上の香港永久性居民」であることですが、投票母数である有権者数についての数値が不明なため、正確な投票率は明らかではありません。参考までに、香港の通常の選挙における有権者登録者数は2013年時点で約347万人。ただし、この選挙有権者登録のためには「有権者登録を行う」という手続きを経る必要があるだけでなく、その資格に「18歳以上の香港永久性居民」という「全民投票」の条件以外に「香港に常時居住していること」「無能力者認定を受けていないこと」等の条件も加わります。香港の永久居民資格を持ちながら、日常的に香港外(例.中国本土)に居住している人も多数いますので、「全民投票」の有権者数は通常の選挙の有権者数を大きく上回ることになります。
(ただし、投票期間中、中国本土から「全民投票」のサイトへのアクセスは遮断されていたため、仮に中国本土在住の「全民投票」有権者が投票を行おうとしても、そのために香港に戻って投票所に直接足を運ぶかネット経由で投票を行う必要があり、現実的には敷居が高いものでした。)

香港大学民意研究計画(HKU POP)がまとめた速報値によると、第1の設問である香港政府に提出する選挙制度案については以下の投票結果となり、真普選聯盟が提出した「三軌方案」が選挙制度案として選出される見込みとなりました。

真普選聯盟案 42.1%
人民力量案 10.4%
香港専上学生聯会 38.4%
棄権 8.9%

※「三軌方案」とは、

  • 有権者の1%(約3万5千人)以上の署名を集めた者
  • 直近の立法会選挙で総投票数の5%以上を得票した政党により指名された者
  • 指名委員会により指名された者

を行政長官選挙の候補者として直接選挙により競わせるというものです。

中国政府サイドや香港内の親中派団体などは、民間投票自体が「基本法」違反で無効だとして、その実施を断固認めない姿勢を示していますが、香港政府No.2の林鄭月娥政務長官は昨日の記者会見で、社会や議会に向けて議論を提起するのであれば、それは法に従ったものでなければならないとする従来の主張を述べる一方で、今回の「全民投票」自体は市民の意見表明の一つの方法であり、その投票者数や結果について尊重しなければならないとする見解も同時に示しました。例の「白書」発表以降、市民の反発に配慮してか、香港政府要人の発言のトーンも微妙に変わってきていることが伺われます。

2013年の外国投資受入額で香港は4位に後退

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先頃、国連貿易開発会議(UNCTAD)が公表した世界投資報告(World Investment Report)2014年版で、2013年の香港のFDI(外国直接投資)受入額(インフロー)は前年より微増となったものの、国別の順位は1つ下げて4位に後退したことが明らかになりました。1位の米国(約1,880億ドル)、2位の中国(1,240億ドル)の順位は前年と変わらず、香港(770億ドル)に代わってロシア(790億ドル)が3位に浮上しました。

FDI 2014

FDI投資国・被投資国上位10ヶ国(2013年)

香港は順位を落としたものの、投資受入額自体は対前年比2.3%増となっており、報告書は香港を「依然としてアジア太平洋地域の市場をターゲットとする多国籍企業の拠点(headquarter)としての主要な投資先の一つである」と評価し、2013年時点で1,380社の地域統括本部が香港に置かれていることにも触れています。

また、対ASEANへの投資額(1,250億ドル)は2007年以来6年ぶりに中国を上回り、特にタイ・マレーシア・フィリピンなどへの投資の伸びが目立ちました。

一方、投資国の立場で見た場合の香港の順位は、米国(3,380億ドル)、日本(1,360億ドル)、中国(1,010億ドル)、ロシア(950億ドル)に次ぐ5番目で、こちらも対外投資額が急伸したロシアに抜かれ、順位を1つ下げました。

普通選挙制度導入に関する市民投票始まる

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次期香港行政長官選挙での普通選挙制度の導入をめぐる市民投票(「6.22 民間全民投票」)が本日(20日)正午、ネット投票を皮切りに開始されました。

投票にあたっては、ネット投票(モバイルアプリ経由を含む)と投票所での投票という2つの選択肢が用意され、本日始まったのはこのうちネット投票のみです。投票には二つの設問が用意され、一つ目は「佔中」運動を進める団体が香港政府に提出する選挙制度案について、3つの団体(真普選聯盟、人民力量、香港専上学生聯会)が提示した試案のいずれを採用すべきかを問うもの、さらに二つ目の問いは香港政府が示す選挙制度案が、国際的な標準から見て、選挙民による真の選択であると考えられない場合に、議会はこれを拒否すべきかどうかを問うものです。

この調査は香港大学が一民間団体の委託を受けて実施するもので、その投票結果に法的拘束力があるわけではありませんが、今回の投票は昨年1月に発起人の呼びかけによって動き出した「佔中」運動の重要なマイルストーンと見られていて、この投票の実施をめぐって香港は大きく揺れています。投票を管理する香港大学民意研究計画(HKU POP)によれば、同機関のサイトはこの数日来、反対派の妨害活動と思われるサイバーアタックを受け、非常につながりにくい状態が続いており、当初22日(日)までの予定であったネット投票の受付は29日(日)まで延長されることになりました。

投票権を持つのは18歳以上の香港永住権所有者。午後9時現在で32万人超がネットでの投票を行ったということです。投票所での最後の投票日である29日(日)以降に一斉に開票が行われ、その結果が公表されることになっています。

popVote

POP VOTEのサイト

香港拠点のLCC、好調なスタートを切る

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ピーチ・アビエーションの減便騒動でミソを付けた感のあるLCC(格安航空会社)ですが、香港を拠点として事業を開始した初のLCCである香港エクスプレスは積極的な日本路線の拡充を進めています。同社は昨年秋に香港=東京(羽田)、大阪(関西)線を開設した後、今年4月には福岡線を就航し、さらに9月26日からは名古屋線を新たに開設することを今月発表しました。また、競合するピーチの減便で空いた穴を埋めるべく、7月から香港=関空線を従来の週11便から14便に増便するなど就航済みの路線の強化も着々と進んでいます。

HK-Japan-LCC

香港エクスプレスは現在のところ、香港を拠点とする唯一のLCCです。その前身は2004年に設立された新興航空会社でしたが、2013年秋にLCCとして再スタートを切りました。当初、香港初のLCCという触れ込みで設立されたジェットスター香港(カンタス航空・中国東方航空・信徳集団の出資)は、キャセイ航空等の地元航空会社からの反対もあって当局からの認可が下りず、いまだに運航開始に漕ぎ着けられずにいます。最大の競争相手になるはずだったLCC界の雄の頓挫を尻目に、香港エクスプレスの今年に入ってからの搭乗率は80%を超え、LCCとしては上々の滑り出しとなりました。
去年10月成功转型为廉航的香港快运,昨日公布半年业务总结。公司过去半年客运量为50万人次,整体载客率持续上升,今年至今载客率更超过80%,反映本港市民对廉航接受程度高,其中日韩线最受欢迎。眼见港人对平价机票热捧程度,香港快运副行政总裁Andrew Cowen表示有信心年内仍录得盈利。

昨今、LCC固有の問題もクローズアップされていますが、利用者にとって選択肢が多いのは望ましいこと。旺盛な訪日需要に応えるためにも、順調に成長していってほしいと思います。

中国国務院、香港統治に関する初の白書を発表

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昨日(10日)、中国の国務院は「一国二制度の香港特別行政区における実践」と題した、香港返還後初となる香港の統治制度に関する白書を発表しました。

State Council’s white paper sets record straight on ‘one country, two systems’ and issues stern warning over interference by ‘outside forces’

白書は序章と結語を除くと、以下の5つの章から成っています。

1.中国への香港の円滑な返還
2.特別行政区制度の成立
3.香港特別行政区における諸事項の包括的な発展
4.香港の繁栄と発展を確保するための中央政府の努力
5.「一国二制度」政策の完全かつ正確な理解とその実現

このうち、今回発表された白書の肝とみられるのが第5章で、ここでは「一国二制度」という言葉の指す「二制度」とはあくまで「一国」すなわち中華人民共和国の下に従属するものであること、中央政府は香港特別行政区に対する全面的な統治権を有することを述べています。

また、香港特別行政区に与えられた「高度な自治権」とは、完全な自治でも、また分権でもなく、あくまで中央政府が一地方政府に事務管理権を委譲したに過ぎないものであり、したがって、香港が享受できる自治権の範囲は中央政府の裁量によって決まるものだとしています。

白書は以下の結語で締めくくられています。

“一国两制”在香港特别行政区的实践,取得了举世公认的成功。实践充分证明,“一国两制”不仅是解决历史遗留的香港问题的最佳方案,也是香港回归后保持长期繁荣稳定的最佳制度安排。坚定不移地推进“一国两制”事业,是包括香港同胞在内的全体中华儿女的共同愿望,符合国家和民族根本利益,符合香港的整体和长远利益,也符合外来投资者的利益。
(一国二制度の香港特別行政区における実践の成功は広く認められている。その実践は「一国二制度」が歴史的に残された香港問題を解決する最善の方法であったのみならず、香港返還後も長期にわたって繁栄と安定を維持するための最善の制度であることを十分に証明している。「一国二制度」事業を堅持して推進することは香港同胞も含めた全中国子女の共同の願望であり、国家や民族の根幹の利益と符合し、香港全体の長期的な利益や外国投資家の利益にも符号するものである。)

  在继续推进“一国两制”事业的新征程上,既要坚持全面准确地理解和贯彻“一国两制”方针政策,确保“一国两制”实践沿着正确的轨道前进,又要积极有效应对香港在发展中面临的困难和挑战。面对内外经济环境的深刻调整和变化,香港需要不断提升竞争力;香港长期积累的一些深层次矛盾日益突出,需要社会各界群策群力共同化解;香港与内地交流合作不断深入,需要加强彼此间的沟通协调,妥善处理民众关切。同时,还要始终警惕外部势力利用香港干预中国内政的图谋,防范和遏制极少数人勾结外部势力干扰破坏“一国两制”在香港的实施。研究解决好这些问题,深化“一国两制”在香港特别行政区的实践,必将进一步彰显“一国两制”的强大生命力。
(「一国二制度」事業の継続推進する過程において、「一国二制度」政策を堅持し、全面的かつ正確に理解し、貫徹しようとするなら、「一国二制度」の実践を正確な軌道に乗せて前進させることを確保し、香港の発展において直面する困難や課題に積極的かつ有効に対応しなければならない。国内外の経済環境の深刻な調整・変化に直面して、香港は絶えず競争力を高めていく必要がある。香港には長期的に積み重なった深層的な矛盾が日々表出しており、社会各層が力を結集して解決しなければならない。香港と本土の交流協力は絶えず深化しており、両者の間の交流・協調は強化し、民衆への配慮にも努めなければならない。同時に、外部勢力が香港を利用して中国の内政に干渉しようとすることに対して警鐘を鳴らし、ごく少数の者が外部勢力と結託して香港における「一国二制度」の実施を妨害・破壊することを防がなければならない。この問題を研究し、首尾良く解決することで、香港における「一国二制度」の実践は深化することになり、必ずやより一層「一国二制度」の強大な生命力を露わにするものとなる。)

  当前,全国人民正满怀信心地为实现“两个一百年”的奋斗目标和中华民族伟大复兴的中国梦而努力奋斗。不断丰富和发展“一国两制”在香港特别行政区的实践,保持香港长期繁荣稳定,是中国梦的重要组成部分,也是完善和发展中国特色社会主义制度,推进国家治理体系和治理能力现代化的必然要求。中央政府将一如既往地与香港特别行政区政府和广大香港同胞一道,全面准确贯彻“一国两制”方针政策和香港基本法,进一步推动香港特别行政区各项事业的发展。我们坚信,香港特别行政区必将继续沿着“一国两制”方针和香港基本法的轨道稳步前进,与祖国内地共同开创中华民族更加美好的明天。
(目下のところ、全国国民は200年来の目標と中華民族の偉大なる復興という中国夢の実現に向けて確信に満ちつつ努力奮闘している。「一国二制度」が香港特別行政区において絶えず発展していくことは香港を長期的な繁栄と安定を維持するとともに、中国夢の重要な一部分を構成するものである。またそれは中国特有の社会主義制度を優れたものとし、発展させるものであり、国家の統治体制や統治能力の現代化を推進するという必然的な要求でもある。中央政府は香港政府や香港同胞と協力しながら、「一国二制度」政策や香港基本法を完全かつ正確に貫徹し、香港特別行政区の各種事業の発展をより一層推進する。我々は香港特別行政区が「一国二制度」方針と香港基本法に沿って着実に前進し、祖国である中国本土と手を携えて中華民族のより良い未来を切り開くことを確信している。)

結語の中では「外部勢力」による介入に警鐘を鳴らしていますが、これは具体的には英米を中心とした国外勢力が香港の民主派団体を支援していることを指していると思われ、また駐香港米国総領事らが香港の次期行政長官選挙への普通選挙制度の導入を求めていることなども念頭にあると思われます。

この時期に異例とも言える白書が発表されたことには、佔中運動との関わりが指摘されています。

香港市民の国別好感度(2014年5月調査より)

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香港大学では半年に一度、香港市民を対象として、対外的意識に関する世論調査を行っていますが、2014年5月実施の調査結果がこのほど発表されています。
(調査結果の詳細は香港市民の各国国民(市民)・政府に対する意識をご覧ください。)

香港市民の各国国民に対する意識

  2013年11月 2014年5月
好感 反感 好感 反感
日本 49% 15% 50% 14%
シンガポール 71% 2% 65% 2%
韓国 52% 7% 50% 8%
タイ 38% 12% 33% 17%
香港 56% 11% 51% 9%
中国 27% 32% 28% 24%
台湾 60% 4% 63% 3%
マカオ 57% 3% 49% 3%
米国 47% 11% 41% 7%
カナダ 60% 1% 56% 1%
英国 54% 4% 49% 4%
ドイツ 43% 3% 38% 2%
フランス 33% 7% 35% 5%
イタリア 30% 6% 32% 4%
ロシア N/A N/A 25% 9%
オーストラリア 58% 1% 50% 2%

香港市民の各国政府に対する意識

  2013年11月 2014年5月
好感 反感 好感 反感
   日本 12% 63% 13% 57%
   シンガポール 70% 4% 62% 7%
   韓国 47% 7% 38% 13%
   タイ 20% 32% 11% 52%
   フィリピン N/A N/A N/A N/A
   香港 27% 40% 25% 37%
   中国 28% 37% 30% 33%
   台湾 37% 15% 32% 15%
   マカオ 52% 9% 39% 17%
   米国 24% 36% 18% 39%
   カナダ 55% 2% 52% 3%
   英国 50% 10% 45% 9%
   ドイツ 42% 3% 34% 4%
   フランス 24% 9% 24% 6%
   イタリア 20% 10% 22% 8%
   ロシア N/A N/A 20% 28%
   オーストラリア 48% 3% 42% 4%

香港市民の対本土感情は半年前の調査時に比べて幾分和らぎ、中国国民に対して好感を抱くと答えた人は、反感を持つと答えた人の数を上回りました。多発する香港市民と本土旅行客の摩擦は、中国本土からの旅行客の減少やその消費額の低迷にも影響を与えていると言われ、市民の嫌本土感情に頭を悩ませている香港政府は少し胸をなで下ろしているかもしれません。

対各国政府への意識では、ロシア・アメリカ・タイ・日本の各政府に対する反感が強く出ています。特に日本政府に対しては、2010年秋の尖閣での中国漁船衝突事件以降、急速に高まった不信感が東日本大震災での日本支援ムードが高まった際に一度は回復したものの、その後、日中情勢の緊迫とともに再び悪化の傾向を辿っています(ただし、今回の調査では若干数字は改善しました)。